オヤジ☆ブログ【シャブレ・ジブレ】 〈不定期更新 目標毎週2回!〉

絵:きよた 文:たなべ


逆算

 スタジオに入ってみたはいいけれど、この先、本当に自分がフォトグラファーになれるのか不安、という人がいるそうです。そういった人は、ゴールから逆算して考えてみてはいかがでしょう?

 

 

Q1:カメラマン、フォトグラファー、写真家、呼び名はなんでも構わないけど、それを職業としていきたいと考えている?

 

Yes:↓(Q2へ)  

 

No:ご興味ありましたら、以下もお読みください。

 

 

Q2:自分はすでにそれに必要なセンスやスキルや人間関係を持っている?

 

No:↓  

 

Yes:お世話になります。今後ともよろしくお願い致します。

 

 

Q3:それを手にいれるために、この人こそと思えるカメラマン(フォトグラファー・写真家)の師匠を見つけ、アシスタントになろうと考えている?

 

Yes:↓  

 

No:(マネージメント的にいえば、確率的にはハイリスク・ローリターンになる可能性が高い選択です。こちらに関しては、また別の機会に。)

 

 

Q4:意中の師匠候補が、アシスタントに対して求めるスキルレベルを自分は充分満たしているといえるか?ただし、「自分的にわかっているつもり」ではなく「実際の撮影現場で任されたことに対し自分が全責任を負えるか」という観点で答えよ。(注意:スタジオ経験期間の長さと、アシスタントスキルの高さを混同しないように。誰もが比例しているとは限りません。)

 

No:↓   

 

Yes:スタジオの経営上は重宝な存在ですから、しばらくはどこのスタジオもあなたを優遇してくれるはずです。でも、それも見た目で自称30代前半と言っていられるくらいまででしょうか。遅くとも、それまでに自分の方向性や次のステップを見極めておかなければ先細っちゃうかもしれません。

 

 

Q5:自分に足りていないアシスタントスキルは何か?次の中から選べ。(複数回答可)。

 

① デジタルオペレーションに関わる技術と知識

② レタッチスキル

③ ライティングスキル

④ その他一般的なアシスタントワークスキル

⑤ 社会性・人間性

⑥ 社交性・チャーミングさ

⑦ アシスタントを経てカメラマンになるという覚悟

⑧ 体力への自信

⑨ 健康への自信

⑩ 言語力(日本語以外の言語でのコミュニケーションを求められる場合)

⑪ その他

 

 

 ここで挙げた項目が少なくとも及第点は超えるように、今すぐ具体的な行動をスタートすべきです。スタジオに入社して、何とな~く仕事を覚えて、ポジション的にも先輩からとやかく言われなくなって、スタジオマンの経験値だけを積み重ねているだけだから不安になるんです。当然と言えば当然。

 

 自分の失敗のほとんどが取り返しのつかないことにはならない今の立場(スタジオマン)のうちに、自分の失敗の芽は極力摘んでおくべきです。失敗ばかりで役立たずのカメラマンアシスタントが、師匠から極意を教わろうなんて虫が良すぎというものです。

 

 以上、今のあなたの不安は、今のスタジオマンという立場のうちに、あなた自身の努力によって潰しておかなければならないとゆう話でした。そうしないと、近い将来、あなたを雇った師匠のほうが不安に襲われちゃうかもしれませんよ~。

 

 

 


「ありがとう」の効能

 この話をすると、みんな「へー、そーなんだ。」と感心してくれます。でも、その後「試してみたら本当にそうだった!」って報告をしてくれた人は、これまで誰もいません。みんな、信じられないから試していないのだと思います。でも、本当にそーなんだから、そーなのです。

 

 僕はヒゲを剃るのに、T字のカミソリを使っています。そのT字のカミソリは、ある程度使用すると替え刃を交換しなければならなくなります。徐々に切れが悪くなっていき、つっかかる感じがして剃り跡が痛くなるようになってくるためです。

 

 そのカミソリの寿命の延ばし方があるのです。

 

 それは、ちょっと切れが悪くなってきたカミソリに向かって、心をこめて「いつも、ありがとう」と声を出して言うのです。恥ずかしがらず、素直に声を出して。それだけで、それまでの突っかかりがウソのようにスムーズな剃り心地になるのです。

 

 なぜだかはわかりませんが、そーなるんだからそーなんです。

 

 別に僕に超能力があるわけではありません。使っている髭剃りはドラッグストアで売っている一般的なものです。でも、こちらが心から感謝の気持ちを口にすると、確かに切れ味が良くなるのです。

 

 これは思うに、感謝の気持ちを口にするという行為それ自体が、自分自身の細胞を和やかにするということではないでしょうか。髭の毛根組織や皮膚細胞の無駄な緊張(こわばり)が解けることで、無機的なカミソリに対してしなやかになり、切れ味が良くなったと感じるのです。

 

 きっと、感謝の気持ちを口にする行為って、その相手へのリスペクトもさることながら、自分自身の心身にも良い影響を与えているのです。

 

 今の自分には、心から「ありがとう」と言っている余裕なんて無いって人も、積極的に人に感謝を込めて「ありがとう」と言うようにしていれば、自ずと余裕が湧いてくるかもしれません。

 

 

 ただ、問題はうちの奥さんです。ただでさえキレッキレなうちの奥さんですから。うかつに僕が「いつも、ありがとう」なんて言って、あれ以上切れ味鋭くなってしまったら、僕はヒゲどころか肉や骨まで切られてしまいそうです。

 

 

 

ウソです。いつもありがとう。

 

 

 


グーグルアナリティクス

 僕はこれまで、このブログ【シャブレ・ジブレ】が、スタジオのリクルートにつながってくれればいいな~と願ってきました。将来フォトグラファーになるために、まずはスタジオに勤めようと考えている方に向けて、このブログがお役に立てればと思っていたのです。

 

 でも、だれもが認めるおっさん丸出しの僕に、今どきの学生の方々をターゲットとした記事を書くなんて器用さはなかったようです。グーグルアナリティクスという優れたアプリで、このブログの読者の皆さんの年齢層を調べてみました。

 

 どうりで、ブログを始めてからというもの、カメラマンさんだけでなく、スタイリストさんやヘア&メイクさんからも「ブログ読んでるよ」とお声がけ頂くわけです。

 

 どうりで、面接に来られる学生の方に聞いてみても、「・・・すみません。読んだことないです。」とか「ブログ?あー、見たことあります。」と正直に答えてくれるわけです。

 

 今さらではありますが、無理なものは無理。リクルーターへのアピールは諦めることにします。そして、これまで以上に、業界にしがみつき生かさせて頂いているオッサン目線で想うことを綴っていこうという決意を新たにした次第です。

 

 

 その前に、ちゃんとブログ更新しろって話ではありますけれども。

 

 

 


マネージャー

 

 撮影中のスタジオのスタッフから、カメラマンさまにご迷惑をかけてしまったとの一報がきた。僕は緊急性がないことを確認した上で、速やかなお詫びと対処及びフォローをマネージャーのAさんと確認し、撮影終了後事情を聞くためにそのスタッフを僕のところに呼んだ。

 

 

 彼は「スタジオワークを急ぐあまり」注意を怠ってしまったと言い反省している様子だった。僕は、その「お客様を想って急いでいた上でのミスなのだから仕方ない」的メッセージを暗に含ませつつ、「でも反省しているんですよ、田辺さん。」ポーズを取っている彼に、どう伝えればわかってもらえるか、彼の話を聞きながら考えていた。

 

 こんな言い訳が有効だと信じ、真顔で主張するスタッフに、「それじゃーダメ。」ということをわからせなければならない。

 

 

 彼の事情説明が終わるのを待って、僕は「怒り」感情モードのギアを1段上げ(6段変速)、彼に話しかける。その時の状況と彼の雰囲気や日頃の人となりなどを考え、1段が適切だろうと考えたからだ。

 

 

 「将来自分がプロになっても、致し方ない事情で、せっかく頂いた仕事がうまくいきませんでした。って言う?」僕がそう聞くと、彼は「……いえ。」。僕はすかさず「そうだよね。それじゃー素人だよね。」「はい。」・・・・・。

 

 

 このようなやり取りを繰り返す中で、「仕事とは責任を取ること」ということをスタッフの胸にストンと落ちるよう促していく。頭で理解できても、心がそれを納得しなければ、彼はいつまでも失敗を活かすことなくクソみたいな言い訳を垂れ、反省ポーズを取り続けるだろうから。

 

 

 でも、実際、僕の目の前で心にストンと落ちて、その日を境にプロの自覚に目覚めるスタッフなど、まずはいない。大半のスタッフにとって、僕は細かいことをグチグチ言う面倒臭せーおっさんでしかないのだ。僕の知らないところで、先輩スタッフから後輩へ、田辺のおっさんの上手なあしらい方が教え継がれていることは想像に難くない。

 

 

 

 こんなことをこれまでず〜っと繰り返してきた。フォトグラファーを目指すスタッフは、知識やスキルを身につけることももちろん重要だ。しかし、何より大切なことはこの道で生きていく「自覚」や「覚悟」への「気付き」だと信じるからだ。

 

 

 僕も来年の頭には、スタジオマネージャー歴25年となる。四半世紀という時間も、過ぎてみればあっという間だった。

 

 

 自分としては一日一日を思いつく限り精一杯やってきたつもりだし、他にやりようもなかった。それでも、代わり映えせずスタッフをつかまえては、グチグチ言っている自分って何なんだと思ってしまう。

 

 

 そんなことが頭の中をよぎっていた日の午後、数年前に突然辞めて以来だった元スタッフが訪ねてきた。数日前、突然彼女から電話が掛かってきて、会って話したいことがあると言ってきたのだ。

 

 

 あいさつもそこそこに彼女は話しだした。

「私、当時はホント自分の事しか考えていなかったってことに辞めてから気付きました。それですごい迷惑をかけた田辺さんにお詫びとお礼を言いたくて、今日来たんです。一人で考えてみたら、私はなんて自分勝手なんだろうって。責任感なんてこれっぽっちもないのに、仕事できるつもりでいた自分が恥ずかしくて、私って最低だって思ったんです。それで、人って一人では生きられない。周りの人に活かされて初めて生きていけるってわかったんです。だから、自分もまずは人のお役に立てることを考えていかなければって。」

 

 

 そう気づき、彼女は2年前にフォトグラファーとして独り立ちした。とはいうものの当初は撮影だけで食べてはいけず、バイトで食いつないでいたという。そして今年に入って、やっとバイトをせずともフォトグラファーだけで食べていけるようになったそうだ。

 

 

 今、彼女の仕事が充実しているだろうことは、話し方や雰囲気を見てわかった。主観的な話だが、以前に比べ彼女の顔のバランスがいい。スタジオにいた頃はバラバラだった。

 

 

 彼女が最後にこんなことを教えてくれた。

 

 

 僕はまったく憶えていなかったが、数年前、彼女がスタジオを辞める日、僕は彼女にこう言ったという。

 

 

 「今はわかんないと思うけど、仕事ってゆうのは、相手の意図を汲んで、任されたこと全てに責任を持つことなの。そのうちわかると思うよ!頑張れよ!」

 

 

 そして彼女は気付き、こうやって戻ってきてくれて、わざわざお礼まで言いに来てくれた。

 

 

 

 僕はこれからもずっと、代わり映えすることなくグチグチ言い続けていくのだと思う。

 

 

 


新人~中略~歓迎会

 

 その店のウワサは聞いたことがありました。

 

 以前、行きつけのバーに行った時、マスターがニコニコしながら僕に話しかけてきたのです。

 

 

「田辺さん、この辺にできた○○○○パニオンの店ってご存知ですか?」

 

「え?聞いたことないです。」

 

「私もお客さんから聞いたんですけど、すごいお店らしいですよ。○○○○パニオンだけに、週末は地方巡業が忙しくてお店を閉めるそうなんです(笑)」

 

 

 その話が頭の片隅に残っていた9月の初旬、スタジオに中途入社の新人スタッフが入ってきました。僕のいるスタジオでは、新人が入ると初日に「プチ」、2週間後に「大」、2度の歓迎会を開催します。

 

 新人は春の新卒入社以来ですから、ここはひとつ景気づけにパーっとやって、スタッフの間の新人くん歓迎ムードを一気に高めようと思い、ちょっとだけ予算を奮発しました。でも、当日はスタジオの撮影が終わらず、スタッフのほとんどが出られない状態。仕方なく、僕と新人くんと唯一仕事の終わったスタッフの3人だけで、歓迎会費を使うことになりました。

 

 それで、思いついたのが冒頭の○○○○パニオンの店。ネットで調べて電話すると、OKとのことだったので、3人で雑居ビルの上のほうにあるその店を目指したのです。

 

 

 

~~~中略~~~

 

 

 で、結論。

 

 このスタジオでマネージャーとなって四半世紀、日数にすると9131日。この日が記念すべき前代未聞の新人歓迎会となりました。新人スタッフYくんと一緒に飲むのはこれが初めてでしたが、彼がこういったことを軽蔑したり拒絶することなく、純粋に楽しんでくれる人で本当に良かったです。

 

 Yくん、これからもよろしくね。研修明けたら、またパニオンの店行きましょう!

 

 

 


採用する側とされる側。そこにある矛盾

 企業が求人広告を出すとき、求職者側の人権を尊重することは必須です。何を当たり前のことを!と思われるかもしれませんが、比較的小規模の企業サイトでは、未だに求人する側の自由が幅を利かせているのを散見します。

 

 

 以下は、最近目にした、ある有名店舗の求人広告からの抜粋。

 

 

 私達と一緒に挑戦してくださる○○○を募集しています。

自発的に思考でき学びと向上心に長けたやる気の有る方、前向きで明るい方。

工夫と表現力のあるタレント性に富んだ方。

笑顔とホスピタリティに溢れた方。

経験者優遇ですが、未経験の方でも学ぶ意欲が高く、ネガティヴな方でなければ大歓迎です。

興味の有る方は写真の添付された履歴書と自己PRを下記のメールにお送り下さい。

 

 

 これ、リクナビなどの大手求人広告サイトだったら、絶対に掲載不可能です。今どき、年齢や性別、国籍などを限定した求人募集が認められないのは当たり前。それだけでなく、外見や性格も求職者側の権利、人権として法律がその保証をしているからです。

 

 だから、先ほどの例でいえば、「前向きで明るい方」はNGワードとなります。「タレント性に富んだ」もNG。「笑顔溢れる」も。「ネガティブでなければ大歓迎」なんて絶対NG。

 

 僕も求人させて頂く側の立場ですから、求人する側の切望感は理解できます。きっと、これを書いた方は、過去に求めているタイプではない方を採用して懲りた経験をお持ちなのでしょう。でも、日本国憲法に「すべての国民は、個人として尊重される。」と書かれている通り、求職者は個人として尊重されて然るべきです。

 

 

 

 ただし、ここに大いなる矛盾があるのです。

 

 

 

 

 採用する側には「採用の自由」があるので、より多くの人に門を広げているのはあくまでも建前。結局は、自社の求める基準に沿って採用するだけですから。先ほどの有名店舗の例でいえば、色々な方が面接に来られるとは思いますが、NGワードの人こそが優先的に採用されるのは当然のことです。

 

 

 今、多くの企業で、本当は採用とは程遠い人がその求人に期待し、自分のどこに問題があったのかわからないまま、採用を見送られています。見送られた原因を教えられれば、次につながる経験となるかもしれないのに、そんなことを教えてくれる企業はほとんどありません。

 

 その結果、自分の何が悪いのかもわからぬまま、ただただ社会からの疎外感を感じている、という人は少なくないと思います。

 

 弱肉強食の世の中だから仕方ない? 悪いのは世の中から外れているその人自身?

 

 それって、なんかつれなくない? 器ちっちゃ過ぎじゃない?

 

 

 

 

 だから、僕はスタジオの面接で、その人のため伝えたほうがいいと思ったら、時間が許すときは正直にお話しするようにしています。現時点では採用に至らない理由を。よろしければ、また来てくださいって気持ちで。

 

 それを聞いて、涙流されて感謝してくださる方もいれば、こんなところに用は無いから一刻も早く去りたいって方もいます。過去には、そうやって数年後にまた来てくださった方もいましたし、3度目の面接で採用させて頂いた方もいました。

 

 そのうち、恨みを買って刺されるかもしれませんが、その時はその時だと思っています。と、いっても、僕も妻子ある身。下の子なんて、まだ小学生です。

 

 もし仮に、眉毛とまぶたと鼻と唇にピアスが入っていて、顔の半分にタトゥーの人が、熟れ過ぎたイチゴのような舌でナイフを舐めながら面接に現れたら。

 

 刺されたくないので、採用しちゃうかもしれません。その時は、スタッフのみんな、新しい同僚をよろしくね!!