シャブレ・ジブレ 〈不定期更新 目標毎週2回!〉

絵:きよた 文:たなべ


心と写真は同期する

 

 長年、スタッフ自身と、その彼ら彼女らの写真(作品)を見てきて、気付いたことがあります。

 

 それは、スタッフの仕事に対する前向き度と、その人の撮る写真の関係について。

 

 

 

 一般的な仕事に比べ、スタジオスタッフの仕事は大変と言われています。しかも、料理の世界や美容師さんの世界と同じで、与えられる仕事をこなしていれば、誰もが自動的に上達し自ずと明るい未来が開けていくわけではありません。

 

 それでも、そんなことは意に介さず常に何ごとにも前向きなスタッフは、写真も魅力的な雰囲気を醸し出しています。これは、上手い下手とは別の話です。

 

 逆に、大変な仕事をやらされている境遇に落ち込んだり、グチや毒ばかり吐いている人は、写真も人に見る気を起こさせない臭いを放つものになります。

 

 このことに気付いたのは、同じ人でも、仕事に対する意識や姿勢が変わってくると、同じタイミングで写真の輝きが変わる様をこれまで幾度となく見てきたからです。「気持ちの前向き度」と「撮る写真」は、ビビットに同期しているのです。

 

 

 また、これはスタジオスタッフに限られたことではありません。スタジオの面接にお越しになられる方の作品を見ていても感じます。

 

 撮る本人は別に心象風景を撮っているつもりはないと思います。それでも、悩んでいる人の写真は悩んでいますし、まだ将来の方向性を見出せていない人が撮る写真は被写体のボヤけた写真に見えます。もちろん、上手い下手とは関係ありません。

 

 

 写真系の学校を卒業後、どこかに就職するでもなくバイト暮らしで作家活動をされる方は結構多いと聞きます。でも、数年後にはそのほとんどの方が作家活動から遠のいていくそうです。

 

 これって、「現実は甘くない。」とか、「日本で写真作家として食べていくのは難しい。」という問題で語られがちですが、社会に対しナイーブでモノトリアムな立ち位置にいながら作品を創ったって、世間知らずな写真にしかならないってことです。

 

 

 そりゃー売れるわけないわな。

 

 

 


子供の頃の夢

 

 大リーガーのイチロー選手が小学生だった頃に書いた作文をご存知ですか? 彼は小学6年生の時にすでに「僕の夢は一流のプロ野球選手」と言い切り、そのために必要な練習量やそこに行き着くためのキャリアを具体的な数値を挙げながら書いていました。

 

 また、サッカー選手の本田圭佑さんも小学校の卒業文集に、「セリエAに入団・レギュラー・背番号10で活躍」と書いていました。他にも、テニスの錦織圭さんやゴルフの石川遼さんも今現在を予見するような作文を子供の頃に書いていたそうです。

 

 超一流のスポーツ選手になる人は、子供の頃からブレることのない夢を追い求めてきたという事実に驚きます。スポーツ選手の身体能力的ピークの時期と技術力の完成に要する時間を考えれば、幼少の頃からの目標設定はとても大切だということもあると言えます。

 

 

 でも、これが例えば政治家だったらどうなんでしょう? 

 

 小学生の卒業文集に、

 

「ぼくの夢は総理大臣になることです。そのためには、親の地盤を大切にしていかなければなりません。ぼくは3歳の時から後援会や地域のお祭り、冠婚葬祭などにもマメに顔を出すようにしています。また、ぼくが自信のあることは親がかなりの資産家だということです。これからは僕の知名度をもっと上げるためにも、まずはスポーツ選手か芸能人を目指し、顔が知れ渡った頃合いを見計らって選挙に打って出ようと思います。とにかく、ぼくは総理大臣になりたいです。」

 

 総理大臣になった方が、実は子供の頃このような作文を書いていたって知ったら、ちょっと引くかも知れません。でも、こんなこと書く小学生がいたら将来どうなるのかちょっと楽しみです。

 

 

 ところで、カメラマン(写真家・フォトグラファー)はどうかと言えば、子供の頃からず~っと、という方はそれほど多くないようです。僕のいるスタジオのOB・OGフォトグラファーでも、写真系の学校出身者は1/3に過ぎません。

 

 あとは、1/3が美術・デザイン系、残り1/3が一般的な専攻科目で大学に入ってはみたけれど、写真をやりたくなったとか、カメラマンを目指すなんて大それたことは自分に無理だと思い込み普通に就職したけれど一度きりの人生やっぱり自分が一番好きなことでやってみたくなったとか。

 

 

 ちなみに、うちの小学生の息子に将来の夢を聞いてみました。

 

僕 :「○○は、大きくなったら何になりたいの?」

息子:「何になりたいって?」

僕 :「仕事。何の仕事がしたい?」

息子:「ん〜、ファミ○。」

僕 :「え? ファミ○って、ファミリー○ートのバイト?」

息子:「うん。」

僕 :「なんで?」

息子:「なんか、日本語しゃべれない人もやってるから、楽そー。」

 

 息子を将来スポーツ選手にして、億単位の契約金をもらい、親は左うちわで暮らすという僕の子供の頃からの夢は、ここに儚く砕け散って行ったのでありました。

 

 

 


バブルを超えてゆけ

 

 日本が今の中国のように勢いのあった時代(バブル弾けた後もしばらく)、カメラマンもブイブイ言わせている方がたくさんいました。今の若い方には想像がつきにくいかもしれませんが、当時はそう出来ること自体がステイタスであり、憧れられることだったのです。

 

 そして、日本から勢いが消え失せ、良くも悪くも日本人がみんな優しくなってしまった現代、そのような自己顕示欲は鳴りを潜め、皆さん人当たりの良い方ばかりになってしまいました。昔だったらブイブイ言えるほど成功されている方も、その成功を鼻にかけるようなことは絶対にしません。

 

 

 人生が上手くいっている人は、上手くいっていない人を気遣って、目立たないようにしなければいけない時代です。「リア充」なんて言葉が出てきたように、ごく普通の人生ですら揶揄される対象となってしまいました。

 

 これって、「他人と自分」の比べ方の問題です。

 

 バブルの頃、自分より羨ましい境遇の人は、ほとんどの場合憧れの対象と目されました。いずれは自分もあーなりたいと思われたのです。

 

 

 今、自分より恵まれた環境にいる人は、ネタミの対象となるか、「だから私はダメなんだ」と自己卑下のきっかけに使われてしまいます。

 

 まったく無理しない現状の自分を肯定するために、努力と試行錯誤から逃げてるだけに過ぎません。やりゃーいいじゃん。頑張ればいいじゃん。諦める自分を肯定して逃げるんじゃねーよ。ってだけの話なのです。本当は。

 

 

 彼女欲しけりゃ、告ればどーよ? フラれたんなら、その失敗を反省して次に生かせばいいじゃん。恋愛とかするパワーが湧かない? 自分の生きた証も残さず、遺伝子すら残さないなんて種は、淘汰されて当然。それが、この地球上に生物が誕生して以来の自然摂理でしょ。はい、残念。

 

 この国を手っ取り早い自分への優しさが大手を振って歩いている限り、この国の衰退を止めることは誰にもできません。

 

 

 昔、「おしん」というNHKのテレビ番組がありました。バブルの数年前、1983年~1984年に放映し、国民的話題となったドラマです。平均視聴率は52.6%、瞬間最高視聴率62.9%はどちらもテレビドラマの最高視聴率として記録されています。この「おしん」、とにかく不幸で、とにかく苦労の絶えない人生をたくましく生き抜く女性が主人公のドラマでした。

 

 バブルといえば、陽気に浮かれていたイメージだけがクローズアップされがちですが、その数年前にはこんなドラマに共感し涙する日本人が大勢いたことを忘れるべきではありません。あの頃はみんな、耐え忍び、頑張っていたからこそ、そんなドラマがヒットしたのです。

 

 

 だからって、僕は理不尽なことに対し耐え忍ぶべきだと言いたいのではありません。ただ、自分より先行して成功している人を見たら、妬まず、卑下せず、素直に羨ましがろうよと言いたいのです。

 

 そして、自分も負けずに頑張ろう。成功を得るまで耐えようよと言いたいのです。

 

 

 いくつかの経済指標はバブルを超えたものもあるそうですし、日本経済の先行きは今のところ悪くはなさそうです。それでも、とどのつまり、バブルを超えてゆけるかどうかは、一人ひとりの幸せの実感にかかっているのですから。

 

 

 


【業務連絡】スタッフのみんなへ

 

 今年の年末年始の休みは例年になく長期間です。実家に帰り、地元でのんびりする人もいれば、どこかへ旅行を計画されている人もいると思います。

 

 GWや夏季休暇と比べても、このスタジオでこれだけ長期に休めることはめったにない機会ですから、思う存分遊び倒してください。

 

 

 ただ、僕から1つお願いがあります。

 

 

 休み中に、自分のホームページをいじって欲しいのです。更新の途絶えている人は更新を。リニューアルをはかりたい人は、それを。

 

 せっかくですから、それに合わせてもっと人に見てもらう写真について、深く考えてみてはいかがでしょうか? たかだか10日で答えが出るかは微妙ですが、考えるという意識だけでも無駄にはならないはずです。

 

 

 ご存知の通り、皆さんの作品は、スタジオのサイトFaceBookページインスタに公開されています。見てくれた方が「この写真、好き。」と感じ、そのLIKEな感情が、親指をちょこっとだけ動かす行為より強ければ、「いいね!」や「♡」が入ります。それ以上に「この写真を撮っている人の作品をもっと見たい。」となれば、皆さんのHPに飛んでくる仕掛けです。

 

それにより、「作品撮りを一緒にやりましょう。」という話も来るでしょうし、「撮ってもらいたい」という話も来るでしょう。過去に実際あったように現役スタジオスタッフに、仕事としての本格的な撮影依頼が来ても何ら不思議はないのです。

 

皆さんはそれぞれ、自分の写真の力がどれだけのムーブメントを起こしているのかを理解しているはずです。そして、それはまだまだ足りないということも。

 

 

 そこから考えれば、今の自分に必要なものは何か、これからの自分は何をすべきなのか、その答えは簡単に出てくるはずです。あとはそれに向かってやるだけ。

 

 世の中の答えは、いたってシンプルなものです。自分が複雑にすることを意図さえしなければ。

 

 

 今でこそ、バリバリやっているOB・OGだって、みんなこの段階を経ていきました。まずは楽しむこと。でもやるべきことはしっかりやること。

 

 有意義な冬休みを経て、今年より自信を増した笑顔に会えることを楽しみにしています。良い年を。

 

2017年12月28日 たなべ

 

 

 


続・スタジオに、入ってみたはいいけれど

 

 このブログ【シャブレ・ジブレ】で今年最高ビュー数を記録した記事は、「スタジオに、入ってみたはいいけれど」(4739PV/12/25現在)でした。この時アンケートに答えてくれたスタッフも、間もなく勤続1年。そこで、今の彼女・彼らは何を思い、どう感じているのか。改めてアンケートをとりました。

 

★入社前と今の自分、変わったことは?

 

◎生活リズム・考え方・スキル等、すべてが変わった。

 

◎少し、モテるようになった(笑)

 

◎作品撮りをするようになった。

 

◎仕事に対しての責任感や自覚が変わった。

 

 

★厳しいスタジオと聞いていたけれど、実際どうだった?

 

◎厳しいところだとは思います。ただ、それは理不尽に怒鳴られるようなものではなく、仕事に対する厳しさです。スタジオマンというそれほど長くはない時間の中で、自分自身が成長するためには必要な厳しさだと思います。

 

◎厳しいと言う人もいるかもしれないが、自分は何のためにその行動が求められているかがわかっているので、厳しいと感じることはない。

 

◎よく考えたら「自分の任された仕事に責任を持つ」とか、社会人として当たり前のことに対して厳しい。それって当たり前のことだと思う。

 

◎入社してからの期間によって感じ方は変わってくると思うが、スタジオに来られるお客様が皆さんプロの方なので、一緒に仕事をする以上は恥ずかしくないよう、迷惑をかけないよう心がけなければならない。その厳しさはあります。

 

 

★なぜ、今まで辞めずに続けてこれたと思う?

 

◎すべて自分のためになるという信念と仲間がいてくれたから。

 

◎カメラマンさんやお客様から外苑スタジオの話を聞くと、自分は良いスタジオに勤めているといつも感じるから。

 

◎ここで自分としっかり向き合って進めば、なりたい自分になれると思っているから。

 

◎朝早かったり、夜遅かったり、仕事に手を抜くと厳しく指摘されたり、メンタル的につらい日もあります。それでも、日々成長できている自分への充実感の方がそれに勝るので、辞めるという発想はありません。

 

 

★このスタジオに入って良かったことは?

 

◎思いもよらない方向性への道が開けること。同じ志を持った仲間たちと働けて、フォトグラファーとして活躍されている多くのOB・OGとも接点があること。

 

◎他のスタジオで働いたことが無いので比較はできないが、外に出ても恥ずかしくないくらいの人間性とスキルが身についてきていると実感できること。

 

◎自分の甘さに気が付いて、身の程を知り、今後どうすれば上のステップに行けるかが見えてきたこと。

 

◎月末には絶品の外苑カレーが食べられること。

 

 

 

 

 僕が言うのもなんですが、以前と比べるとみんな大人になったものです。お父さんは嬉しい(笑)

 

 ずいぶん前の話ですが、フォトグラファーH氏がおっしゃっていた「カメラマンになれるかどうかって、その人が大人かどうかってだけのことだから。」という言葉を名言集のリストに加えるかどうかを検討したことがあります。その時は、ちょっと意味が伝わりにくいかと思い却下してしまいました。

 

 でも、その言葉の意味ってこうゆうことです。このスタジオのスタッフが着実にカメラマンに近づいていることは間違いないと思うのです。

 

 

 

続きを読む

ネーミングはブランディング

 

 昔、僕が親に勘当されてバイトしながら一人暮らしをしていた頃、まだ世の中には「フリーター」という言葉がありませんでした。

 

だから当時は、だれかに「何やっているんですか?」と聞かれれば「ぷうたろう(無職)です。」と答え、「え?どうやって食べているんですか?」と聞かれて初めて「バイトです。」と答えなければなりませんでした。

 

 

 考えてみれば、あの頃の「アルバイト」という言葉の社会的認知は、仕事ではなく単なる小遣い稼ぎに過ぎなかったのだと思います。

 

 それから数年後、「フリーター」という言葉が世の中に出てきて、メディアが盛んに「今どきの若者のライフスタイル」とか「何ものにも縛られない生き方」とあおっていました。(あくまでも当時の僕の印象です。)その頃はすでに、「ぷうたろう」から足を洗い、「会社勤め」をしていた僕は、そんな世の中の動きを我ながらずいぶんと冷めた目でみていたものです。

 

 だって、僕がそうであったように、働き手を求める企業側の「事情」というニーズと、若い人たちの「都合」というニーズの合致は、それ以前からあったことです。それを誰か頭の良い人が「フリーター」なんてカッコいいネーミングにすることで、若い人たちをその気にさせ、市場を盛り上げ自分たちの狙い通りにビジネスを成功させただけのことですから。

 

 

 

 そんな僕も気付けば誰もが認めるおっさん。最近では、寒さが身に染みるのが、季節のせいなのか年齢のせいなのかよくわからなくなってきました。

 

 今の人は知らない方も多いのかもしれませんが、昔のオッサン達は寒い季節になるとズボンの下には「ももひき」なるものをはき、合わせて上にはシャツの中に「ラクダ色のシャツ」を着ていました。若い頃の僕から見ると、これが超ダサい。

 

 ももひきやラクダ色のシャツがダサいのか、おっさんが着るものだからダサく見えるのか、僕にはよくわかりません。ただ、絶対にこれだけは一生涯着ないと心に誓って今まで生きてきました。

 

 

 先日娘と一緒にユニクロに行ったときのことです。レジの前の一番目立つところに「ももひき」とその「シャツ」がズラッと並んでいたのです。

 

 娘に「これって、ももひきじゃん。」と言うと「何それ?」と伝わっていない様子。その日、僕が「ヒートテックのインナー」という名の「ももひき」を大人買いしたのは言うまでもありません。残念ながらラクダ色はありませんでしたが。

 

 今日も着ていますが、この「ももひき」暖かくて最高です!

 

 

 


カテゴリ月別