はじめに

 自分はこの先どうやって生きていくか。どんな仕事をやりたいか。もし、あなたが写真家や料理人や美容師など、感性を求められる職人的仕事(以下、感性系職人)を選択肢に入れているなら、お伝えしたいことがあり、ブログを始めることにしました。

 

 感性系職人を目指すにあたり、よく言われていることは「厳しい世界」だということ。なぜ、厳しいと言われるのかといえば、今も昔も目指し出したものの途中であきらめていく人が後を絶たないから。

 

 僕は撮影業界に入って30年、これまで多くの写真家を志す方々と出会ってきました。その中で、今はフリーのフォトグラファーとして大活躍中の方の言った言葉「カメラマンになるのは、簡単。大変だったけど。」が深く印象に残っています。また、多くのファッション雑誌から引っ張りだこのヘアメイクさんに「なるために必要な能力」を聞いたところ、「気合と根性」とその方のスマートな外見からは想像しにくい答えを聞いて意外に感じたこともありました。僕の知る限り彼や彼女だけに限らず、売れている写真家も、一流料理人も、カリスマ美容師と言われる人も、道半ばで挫折していく人の気持ちはあまり理解できないようです。大変だけど、簡単だったから。

 

 それではなぜ、簡単なのに多くの人が挫折していくのか。その大変さが、常人の想像を絶するほどのものなのか? でも僕は、この業界で活躍されている人の中で、眉間にシワを寄せてまで頑張っている人を見たことがありません。それなら夢をかなえる人は、並外れた根性の持ち主なのか? でも、業界のプロフェッショナルはみなさん涼しげに楽しく仕事をこなしているように見えます。

 

 ネット全盛のこの時代でも、胸にストンと落ちるような爽快な答えが見つからないことがあります。この「大変だけど簡単」のナゾは、まさしくその典型的な例なのではないでしょうか。「知識」としての答えを探す限り、見つけるのは難しいと思います。無理やり明快な答えを求めるならば「気合と根性」としか言いようがありません。

 

 「目からウロコ」ってよく聞く言葉だと思います。実際、ウロコは見えていないので、邪魔でもなんでもない。でも、ある日突然ポロっと取れる。取れてみて初めて、ウロコの大きさにビックリする。または、何となく目の前をおおっていたモヤ。それが自分の頭の中で漠然としていた謎が解けた瞬間、スッキリする。ここに「大変だけど簡単」の答えがあります。これから、このブログを通して、感性系職人を目指す皆さんの目の前のウロコやモヤが少しでも取れたらいいなーと願いつつ日々思うことを綴らせて頂けたらと思っています。

 

田辺 まさかず