頭ではわかっているのに、行動に移せないとき

 やらなきゃいけないのはわかっているのに、行動できないってことありますか?僕は子供の頃、夏休みの宿題は、最後の2日くらいから焦りだしました。毎年、夏休みの始まる時には、今年こそ計画的にやるって心の中で誓ったはずなのに。また、よくある話では、『英会話ができたら世界が広がるから、英話が話せるようになりたい。でも、英会話が上手になる本を買っても読まなかった。高いお金を払って英会話教室に入ったけど、結局行かなくなってしまった。』とか。以前、お会いした写真作家志望の方は、「写真を撮らなければいけないのはわかっているんですけど、撮れないんです。」と悩んでいました。

 

 そんな悩みを抱える人は、こう考えたらどうでしょう?『理性の考えた』自分がやらなきゃいけないことは、『心がその行動を促すほど』やりたいことではなかったと。そもそも、自分にお仕着せしなきゃいけない選択肢より、自分が素直に行動できる選択肢の中からこそ、世の中に歓迎されることや生産性のあることを選ぶべきだったと。

 

僕は、夏休みの宿題を望んだわけではありません。英会話教室が続かない人は、実はそれほど英会話が出来るようになりたいわけでなかった。だって、日本語でコミュニケーションとれているだけで、実は充分満足しているから。写真作家になるという大志が欲しかったのは、あくまでもその結果であって、そこに辿り着くまでのアプローチを望んでいるわけではなかった。

 

 ただし、こう言ってしまうと、アシスタントや“下積み”な立場の人達は頑張らなくていいのかって話になってしまうのですが、そういうワケではありません。

 

 僕にとって夏休みの宿題とは、「やりたくないので、やりませんでした。」と言えないものでした。当たり前です。でも、僕に計画性を身につけさせようとする先生の目論見通りにだけは、辛うじてならずに済みました(笑)。そのかわりに、土壇場のわずかな時間の中で何とかするための集中力は養われたと思います。

 

他人から無理やりだろうと、自らだろうと、嫌々だろうと、楽しくやろうと、『成長』はそれを正面から乗り越えて初めて得られるものです。自ら成長できる人は、周りが放っておいたって勝手に成長していきます。自らはできない人は、人から乗り越えるべき何かを学び取ることで成長すればいいだけの話です。アシスタントはそのための効率の良い制度だと考えるべきなのです。

 

「やりたくなった時にやればいいんじゃない?死ぬわけじゃないんだし」。頭ではわかっているのに、行動に移せないって悩みの相談を受けた時、相手が一般の方だったら、僕はそう答えます。ちなみに、相手が業界のアシスタントさんだったら答えはこうです。「悩んでるヒマがあったらとっととやれよ。死ぬわけじゃあるまいし!」